どうも、音楽ブロガーのコバヤシ(@kobalog_net)です。
アメリカの音楽史を知るうえで超重要なのが、「カントリーミュージック」と呼ばれる音楽ジャンルです。
1950年〜60年代はカントリーミュージックの黄金時代とも言われており、ジョニー・キャッシュやウィリー・ネルソンなど、カントリー界の大スターが世に出てきましたが、その裏でカントリーギターの名手も数多く登場することになりました。
本記事では、音楽ブロガーの私がおすすめするカントリーギターの名盤を12枚紹介していきます。
本ブログらしく、ギタリストに特化した目線で各ギタリストの使用ギターやプレイの特徴なんかも解説します!
カントリーミュージックやカントリーギターに興味があるという方は、ぜひ最後までご覧ください。
タップできる目次
- カントリーミュージックってどんな音楽?
- カントリーギターのおすすめ名盤12選
- The Merle Travis Guitar / マール・トラヴィス
- ベスト・オブ・チェット・アトキンス / チェット・アトキンス
- チェスター&レスター / レス・ポール
- 2 Guitars Country Style / ジミー・ブライアント
- Hank Garland & His Sugar Footers / ハンク・ガーランド
- Country Pickin’ Don Rich Anthology / ドン・リッチ
- The Guitar Sounds Of James Burton / ジェームズ・バートン
- カントリー・ジャズ / ジョージ・バーンズ
- Up Through the Years 1955 / ルーサー・パーキンス
- Crusin Deuces / ダニー・ガットン
- Tear It Up / アルバート・リー
- Birds Above Guitarland / ピート・アンダーソン
- カントリーギターのおすすめ名盤まとめ
カントリーミュージックってどんな音楽?
カントリーミュージックは、1920年代にアメリカ合衆国の南部地域や西部地方を中心に発祥したとされる音楽ジャンルのひとつです。
”country”は日本語で「田舎」を意味し、もともとはアメリカの田舎で生まれた音楽を指します。
アメリカのルーツに根差した音楽のひとつで、白人のフォークミュージック的な感じですね。
主に使用される楽器としては、アコースティックギターやバンジョー、フィドル、ウッドベース、スティールギター、ハーモニカなどのアコースティックな楽器が多いのも特徴のひとつです。
もともとはアコースティック楽器がメインでしたが、エレキギターが登場してからはエレキサウンドがカントリーミュージックのメインストリームになりました。
「カントリーギター」と聞くと、フェンダーのテレキャスターに代表される乾いたブライトなサウンドと、トリッキーなギターフレーズを思い浮かべる人も多いんじゃないでしょうか?
ちなみに「カントリーミュージック」と聞くと西部開拓時代やカウボーイを連想する人もいるかと思いますが、あれはあくまでもマスコミが作り上げたイメージに過ぎず、本来のカントリーミュージックと深い関係はないそうです。
カントリーミュージックやカントリーギターについて、詳しく知りたい方は以下のような書籍もオススメです。
カントリーギターのおすすめ名盤12選
ここからはカントリーギターのオススメアルバムを12枚紹介していきます。
カントリーギターの伝説と言われるような人から、新世代のカントリーギタリストまでバランスよく選んだつもりです。
併せてYoutubeなどで音源をチェックしながら読むとさらに理解が深まると思います。
それではさっそくいってみましょう!
The Merle Travis Guitar / マール・トラヴィス
最初に紹介するのは、カントリーギターの元祖とも呼ばれるマール・トラヴィスです。
1917年生まれのマール・トラヴィスですが、なんと6歳の頃にはすでにバンジョーを自作して弾いていたというから驚きです。
今となってはカントリーギターになくてはならない「ギャロッピング奏法」の生みの親で、カントリーギター界では伝説的な存在の人。
本作はそんなトラヴィスのギタープレイをフューチャーした初期の傑作アルバムです。
ギター1本で奏でられる「Blue Smoke」や「Walking The Strings」をはじめとした初期トラヴィスの名曲が数多く収録されています。
全曲、まさに超絶演奏のオンパレード!ほとんどソロインストチューンが軒をつらね、アルバムの最初から最後までトラヴィス印のギャロッピング奏法がたっぷりと堪能できます。
こんな風にサラッとカントリーギターを弾けたらカッコいいだろうな〜・・。全ギタリストが憧れるカントリーギターの教科書的1枚。
ベスト・オブ・チェット・アトキンス / チェット・アトキンス
次に紹介するのは、カントリーギター界のジェントルマンこと、チェット・アトキンスのベストアルバムです。
チェット・アトキンスは、端正な顔立ちと紳士然とした装いから「ミスター・ギター」の愛称で親しまれた天才ギタリスト。
ラジオから流れたマール・トラヴィスの音楽に衝撃を受け、ギャロッピング奏法をスリー・フィンガーで奏でるという、チェット・アトキンス奏法を確立していきます。
今まであまりメジャーでなかった「カントリーギター」というジャンルをワールド・スタンダードまで押し上げたのはこの人の功績がかなり大きいと思います。
チェットに関しては、初期のアルバムだったり、ギター1本でビートルズの楽曲を奏でたカバーアルバムだったりと色々と良盤があるのですが、どれか一枚を挙げろと言われたらやっぱり「ベスト・オブ・チェット・アトキンス」かなーと。
「ミスター・サンドマン」や「カントリー・ジェントルマン」などの代表曲から「キャラバン」といったジャズのカバーまで、幅広くチェットの魅力を知れる1枚です。
演奏はもちろんのこと、チェットの代名詞とも言えるグレッチギターのサウンドが本当に素晴らしい。終始、心地よいグレッチサウンドにうっとりすること間違いなし。
チェスター&レスター / レス・ポール
Gibsonレスポールの生みの親として知られる、レス・ポールもカントリーギターを語る上で外せないギタリストの一人です。
レス・ポールというと、ジャズのイメージが強い方もいると思いますが、実はカントリーギターの腕前も一級品。
本作は、ミスターギターことチェット・アトキンスとの共演盤で、円熟した2人のプレイを堪能できる1枚でもあります。
二人ともサラッとテクニカルなことをやっているんだけど、嫌味がまったくない。リラックスして微笑みながらギターを弾くおじ様二人の光景が浮かんでくるんですよね〜。
ちなみにレス・ポールは、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」で第18位にランクインするほど世界的にも有名なギタリストです。
ギブソン・レスポールだけでなく、ギターの弾き語りで当たり前に使用されている”ハーモニカーホルダー”も実はレス・ポールの発明によるもの。
まさに音楽界の発明王といえますね。
2 Guitars Country Style / ジミー・ブライアント
ジミー・ブライアントは、1925年生まれジョージア州出身のカントリーギタリストです。
10人兄弟の長男として生まれたブライアントは父や祖父からフィドルを習い、路上演奏のチップで家計を助けていたといいます。
カントリーギターというと、フェンダー・テレキャスターで超絶フレーズを弾きまくる、といったイメージを持つ方も多いと思いますが、そのイメージを作った張本人がまさにこの人。
超絶速弾きギターの元祖とも言えるすごい人なんです。
本作「2 Guitars Country Style」は、スティール・ギターの名手スピーディ・ウェストとタッグを組んだジミー・ブライアントの代表作。
一曲目の「Hop, Skip, And Jump!」から、最後の「Midnight Ramble」まで、息をも付かせぬギタープレイの攻防が続きます。
ブライアントお得意の高速フレーズも目白押しで、カントリーギターのカッコよさがギュッと詰まった1枚。
スピーディ・ウェストのセンスが光るスティール・ギターにも注目です。
ハンク・ガーランドは1930年生まれサウスカロライナ州出身のカントリーギタリスト。
6歳でギターをはじめ、16歳になる頃には神童と呼ばれプロの舞台でも活躍していたというから驚きです。
カントリーだけでなくジャズやポップス、ロカビリーまでなんでもござれの器用なギタリストだったようです。
セッションギタリストとしても人気は高く、あのエルヴィス・プレスリーのバックを務めていたことでも知られています。
そんなガーランドのオススメ盤は、カントリーギタリストとして最もアブラの乗っていた時期に録音されたリーダーセッションの1枚。
フレージング、音色、バッキング、ハーモニー、どれをとっても超一級品レベル。
カントリープレイヤーとしてのハンク・ガーランドが堪能できる歴史に残る名盤でしょう。
代表曲でもあり、ミリオンヒットを記録したインストチューン「Sugarfoot Rag」は全ギタリスト必聴の一曲。
Country Pickin’ Don Rich Anthology / ドン・リッチ
ドン・リッチは、カントリーギターの名手、バック・オーウェンス率いるバッカルーズのリードギタリストです。
ギターだけでなくフィドルも弾きこなし、シンガーとしても活躍したカントリーギター界の名サイドメン。
バック・オーウェンスとドン・リッチの”ダブル・テレキャスター”によるブライトなサウンドは、ウェストコーストサウンドを形作ったといっても過言ではない名コンビ。
テレキャスターというと、ジミー・ブライアントのイメージが強いですが、個人的にはドン・リッチもブライアントに負けず劣らずなテレキャスター使いだと思います。
本作は、バッカルーズ名義のアルバムからドン・リッチをフューチャーしたコンピレーション盤で、インスト曲からシンガーとしてのリッチまで、多彩な彼の魅力が詰まった1枚となっています。
とくに「The Happy-Go-Lucky-Guitar」、「Chicken Pickin’」、「Spanish Moonlight」あたりは必聴間違いなし!
センスが光るリッチのギターを聴くことができます。
また、ドン・リッチの場合ギターだけでなく歌声も良いので、ぜひ注目して聴いてほしいです。
The Guitar Sounds Of James Burton / ジェームズ・バートン
ジェームズ・バートンは、1938年生まれアメリカ合衆国ルイジアナ州出身のギタリスト。
「ミスター・テレキャスター」の異名を持ち、エルヴィス・プレスリーやリッキー・ネルソンのサイドギタリストとして活躍した凄い人。
デイル・ホーキンスの大ヒット曲「Suzie Q」の印象的なリフを弾いて大きな注目を集めました。
カントリーギターがロックの業界でも広まったのは、この人の功績がかなり大きいと思います。
本作はそんなバートンのギターをフューチャーした初期の傑作アルバム。
大ヒットした「Suzie Q」をはじめ、ジェームズ・テイラーの「Fire and Rain」をギターインストでカバーするなど、カントリーの枠から飛び出た様々なスタイルのギタープレイが楽しめる名盤です。
カントリーギター的な聴きどころは、名曲「Mystery Train」でのチキン・ピッキングでしょう。
ロック的な要素とカントリーギターが融合したフレージングはまさにジェームズ・バートンならではといった感じです。
カントリー・ジャズ / ジョージ・バーンズ
ジョージ・バーンズは1921年生まれ、イリノイ州出身のカントリー・ジャズギタリスト。
カントリー畑というよりは、スウィングジャズのギタリストというイメージが強いかもしれません。
伝説のブルースマン、ビッグ・ビル・ブルーンジーともレコーディングしており、それで名前を知っているという方も多いのでは?
彼の最大の功績は、カントリーミュージックとジャズを融合させたところでしょう。
本作「カントリー・ジャズ」は、まさにタイトルの通りカントリーミュージックをベースに、ジャズギターの魅力をたっぷり詰め込んだカントリージャズギター史における金字塔的作品。
トリルを用いたトリッキーなフレーズや、なめらかで心地よいフィンガリング、コードに沿ったシングルノートのフレージング等は、流石ジャズギタリストといったところ。
カントリーもジャズも好き!という方には、間違いなくハマる名盤だと思いますよ。
Up Through the Years 1955 / ルーサー・パーキンス
ルーサー・パーキンスは、カントリー界の超大物、ジョニー・キャッシュのバックバンドであるテネシー・スリーのギタリスト。
カントリー、ロカビリー界における重要人物とも言えるギタリストのひとり。
ギターは、フェンダーエスクワイヤー(テレキャスター)やジャズマスターを愛用しており、歯切れの良いブライトなサウンドが持ち味。
パーキンスは、ギターの4~6弦をミュートしながら、1~3弦をスクラッチしながら弾くという「ブン・チカ・ブン」と呼ばれるスタイルを作ったギタリストです。
彼の生み出す独特なリズムパターンとギターサウンドは、キャッシュの音楽になくてはならない要素となりました。
本作はジョニー・キャッシュの1955-1957年の録音を集めたコンピレーション盤でして、ピック弾きと指弾きを織り交ぜたパーキンスの燻し銀のカントリーギターが堪能できる1枚です。
Crusin Deuces / ダニー・ガットン
ダニー・ガットンは、ブルース、ジャズ、ロカビリーにカントリーを組み合わせて「レッドネックジャズ」と呼ばれる新しい音楽スタイルを作り上げたギタリストです。
テレキャスター使いとしても知られており、ギター好きの間では「世界で最も偉大で無名なギタリスト」のキャッチフレーズで呼ばれています。
ダニー・ガットンは、いわゆる超絶バカテクギタリスト系列の人なのですが、テクニックばかりをひけらかす感じではないところがめちゃカッコいい。
あのスティーブ・ヴァイが「これまでで最高のギタープレイヤー」と称賛し、アルバート・リーはガットンについて「これがすべてを手に入れている男」とまで言っています。
とにかくギターに愛された最強のギタリストなのですが、メジャーなギタリストに比べるとイマイチ(というか全然)人気はない。。なぜだ?
華がないっちゃないのかもしれないが・・ギターの腕は間違いなくピカイチ。ダニー・ガットンを聴いたことがない方は、ぜひこの機会に彼の超絶プレイに痺れまくってほしい。
Tear It Up / アルバート・リー
アルバート・リーは1943年、英国レオミンスター生まれのカントリーロックのギタリスト。
16歳からプロ活動をはじめた天才的なギタリストで、モダンカントリーに大きな影響を与えた人物。
ヘッズ・ハンズ&フィートのギタリストとしてアメリカに進出後は、ジャクソン・ブラウンやエリック・クラプトンのサポートギタリストとしても活躍しました。
リーは従来のオーソドックスなカントリーギターに、ディレイなどのエフェクターを組み合わせこれまでにないカントリーギターの新しい形を生み出しました。
ひとことで言えば、コンテンポラリー・カントリー・ギターの第一人者といった感じでしょうか。
ロックやブルースの業界にカントリーリックを持ち込んだリーの功績は計り知れないでしょう。
本作「Tear It Up」は、彼の代表曲ともなったタイトルチューンを含む全15曲。
アルバムの最初から最後まで、息をもつかせぬカントリーリックのオンパレードなのでギタリストなら間違いなく必聴の1枚でしょう。
私世代だと、カントリーにおける超絶ギタリストといえば真っ先に名前が挙がるのがこの人なんですよね。
Birds Above Guitarland / ピート・アンダーソン
最後に紹介するのは、デトロイト州ミシガン出身のカントリーギタリスト、ピート・アンダーソンです。
東京事変のギタリストでもある、長岡亮介もフェイバリットに挙げるギタリストのひとり。
カントリー歌手のドワイト・ヨーカムの相棒として20年以上にわたりギターを弾き続けています。
音楽プロデューサーとしても活躍しており、グラミー賞の受賞経験もある凄腕ミュージシャンなんです。
個人的には、ピート・アンダーソンのセンスのあるリックと歌を引き立てる絶妙な伴奏プレイが本当に素晴らしいのでぜひ聴いてほしい。
ちなみに愛用のギターは、レバレンドギターのテレキャスタータイプのシグネチャーモデルで乾いたテレキャスサウンドが最高にカッコいいのです。
本作「Birds Above Guitarland」は、2013年発表の比較的新しいアルバム。意欲的にカントリーギターを弾きまくるピート・アンダーソンを堪能できる良作だと思います。
カントリーギターのおすすめ名盤まとめ
本記事は、「カントリーギターのおすすめ名盤12選!アーティストごとの名曲からプレイスタイルまで紹介」について書きました。
日本だとあまりなじみのない音楽ジャンルかもしれませんが、カントリーミュージックは色々なアーティストのルーツにもなっているジャンルのひとつです。
本記事をきっかけに少しでもカントリーミュージックに興味を持っていただけたら嬉しいです。
他にも、色々なジャンルの名盤を紹介した記事も書いています。ぜひ読んでみてくださいね。
▷【アコギ弾き必見】ブルーグラスのおすすめ名盤12選!アーティストごとの名曲から代表曲まで紹介
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以上、コバヤシ(@kobalog_net)でした〜。